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池多摩(東急池上線と多摩川線)の電車を眺める

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最近オーストリアの記事ばっかりで、

「かぶれやがってコノヤロー」

ってお思いの方もいらっしゃることでしょう。

 

今回はそんな方々に向けて、都会のローカル線として有名な、東急池上線と多摩川線を眺める一日をレポートします。

主に鉄分のみで。

 

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昔、亡き祖父と一緒に乗った、思い出の路線。

今も昔の車両が生き残っているので、祭りにならないうちに目に焼き付けておこうと思い立ち、出かけてまいりました。(2年ほど前に)

 

東急池上線とは

品川区の五反田駅と大田区の蒲田駅を結ぶ鉄道路線です。

もう地名だけでお察しな感じですね。

全線電化された複線ですが、走る電車は3両編成。

長らく他路線のお古ばかりが集められ、50年以上使い続けている車体もあります。

 

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(↑こいつ 7700系 走行機器だけ改造済)

五反田駅の貧弱なターミナル。

住宅街の脇を縫うように走る。昭和の世界。

 

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(↑比較的大きな駅 池上駅)

何度か歌の題材になったり、登場したりしていますが、須らくディスられています。

 西島三重子  「池上線」

 おおくぼ良太 「目蒲線物語」

とまあ、「古い電車」「隙間風」「五反田だぞ五反田」「車内にゴキブリホイホイ」など、ひどい言われよう。

 

一見、あの東急の路線とは思えない冷遇ザコ路線のようですが、

全車VVVF化達成が1995年とかいう早さ。

(2000年の7200系さよなら運転は除く)

 

実は東急線で一番早い

というか、全国の私鉄でも、新規開業路線を抜かせば一番早い部類なんじゃないだろうか。

 

東急多摩川線とは

その昔、品川区の目黒駅と大田区の蒲田駅を結んでいた目蒲線という路線がありました。

目蒲線は池上線と同じように、他路線のお古が回ってくる、18m車4両編成の地味な路線。池上線と違い、その最期まで抵抗制御車が残っていました。

2000年、多摩川駅を境に、「目黒線」と「多摩川線」に分割することになりました。

 

目黒線は車両限界を拡大し、都営地下鉄三田線や営団地下鉄南北線と相互乗り入れを果たし、23区北部(のちに埼玉県)から目黒駅を通って武蔵小杉駅を結ぶ路線に変貌を遂げます。同時に電車も20m級6両編成と2倍近い長さになります。今では急行運転もあり、所々で地下化や駅の拡大が行われる、立派な主要幹線です。

 

一方の多摩川線は、車両はほとんどそのまま3両編成に短縮され、さらにワンマン化。ローカル感を一層増しての再出発となります。この時に池上線と車両を共有することになりました。

 

似たようなローカルな雰囲気、同じ車両の2路線。

 ゆえに、池上線と多摩川線は2つセットで「池多摩」と呼ばれるのです。

池多摩では今日も元気に、車齢10年未満の新車から車齢50年以上のボロ電車まで、元気にトコトコ走っています。

 

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(雪が谷検車区 昼間から若者と老人がニート日向ぼっこ)

 

池多摩に乗ろう

目的は、思い出の電車を見ること。

まずは五反田駅で東急線全線のフリー切符を購入します。

東急ワンデーオープンチケット 660円也。

駅の切符自販機で購入できます。これでどこで降りても無敵です。

 

気持ちとしては一番よく使った目黒駅から乗りたいところですが、もはや目黒駅には昔の面影がありません。

一方五反田駅はほとんど昔のまま。見るならやっぱりこっちでしょ。

昔はJRのホームから池上線の崩れそうなホームが見えたのですが、今は高いビルが建ったので見えません。

 

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ホームから目黒川を渡る山手線が見えます。大崎界隈もビルやマンションだらけになりました。さて、五反田駅はどんな貧弱なターミナルなのかは、ぜひ皆さんの目で見ていただきたい。

 

最初に乗った電車が途中の雪が谷大塚駅行きでした。後続を待つのも面倒なので、終点の雪が谷大塚で下車。線路沿いを、次の御嶽山駅まで歩きます。

 

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雪が谷検車区が見えてきました。これらは1000系といいます。みーんな同じ顔ですが、赤いのと緑のとでは、生い立ちが違います。

要するに緑がお古です。東横線のお古をリノベーションした電車です。赤いのはほぼ生え抜きの池上線の電車。これらももうすぐ30歳。

 

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もう少し進むと、踏切から雪が谷検車区のさらに奥が見えます。

左の緑色のは新型の電車、7000系(2代目)です。

右側は複雑な事情をもつボロ電車7700系。今回のお目当てです。なんだ2編成もお休みスヤァしてるのか。

もうちょっと先に進みます。踏切が多いので、電車が近づく様子は音で分かります。

 

カンカン……

 

カンカン……

 

カンカン……

 

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あっ、突然来やがった! こっちは全く準備してないのに!

顔も側面も日影になっています。せっかくだから明るい写真を撮りたいな。だからもうちょっと場所を変えて、反対側の電車を待ってみます。

 

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これは1000系ですが、ちょっと顔つきが違います。これは東横線のお古のような、目蒲線のお古のような、ちょっと経歴が複雑な電車です。

この写真、顔の後ろに鉄柱があったり、影がかかっていたり、ガチな撮り鉄の方々にはぼろくそに言われそうですが、私は全く気にしない。写っていればいいのである。

 

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次は7000系(2代目)。愛嬌のある顔。色がハデなのに、造形があっさりしすぎてそんなに好きってわけじゃない。

 

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次は1000系。すっかり池上線の顔だね。銀地に赤帯。まさに東急だね。

 

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次は1000系のリノベーション車。1500番代っていうんだって。

ハデな色だけど、これはこれで悪くない。

地方私鉄っぽくて、ローカル度倍点。

 

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次もまた赤帯の1000系。

7700系来ないかな。

さすがに人目も気になってきた。

ここ、線路わき道路とはいえ、スーパーのすぐ近くだから。

おばちゃんがじろじろ見てくるんだ。

「あの人ずっと線路の柵のとこにいる……」

 

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ようやくお目当ての7700系が来ました。

車両番号を見ると、さっき突然来た奴が折り返して帰ってきたようです。ここまで待って、この編成しか走っていないということは、池上線には今の時間帯はこの1編成しか走っていないということになります。(2本は雪が谷でニートしてたしな!)

残りは多摩川線にいるわけだ。

 

次の電車に乗って、終点蒲田の一つ手前、蓮沼駅まで向かいます。

 

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するとこのように、蒲田で折り返してきたさっきの電車とまた会えます。

 

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凹凸のある、というか、ありすぎる感じがとっても好き。

 

この駅でまた改札を出ます。多摩川線の矢口渡駅まで歩きます。

多摩川線で走っているだろう7700系を見るためです。

 

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建物が古い矢口渡駅につくと、骨董ボディの7700系がお出迎え。

ほんとに現代かここ。あらゆる設備が古臭い。

いや、実際にはIC対応改札機だとか、21世紀の最先端装備もあるんだけど!

なんか! 古い!

 

一度、隣駅であり終点である蒲田駅まで移動します。

そしてすぐに折り返しの電車に乗り換えて、反対側の終点の1つ手前、沼部駅で降ります。

ここまで7700系とすれ違わなかったので、多摩川線も1編成だけということになります。

沼部駅から終点の多摩川駅方向に歩いていきます。多摩川沿いの住宅地で、豊かな緑とアップダウンが続きます。

 

多摩川駅近くの踏切で電車を待ちます。

ここの面白さは、手前に渡り線があるので、多摩川行の電車が逆走しているように見えることです。ここでは普通のことですが、なかなか見慣れない景色です。

また、上り下りどちらの電車も、同じ構図で撮ることができるからラクでもあります。

 

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多摩川駅を発車した1000系1500番代。ごく普通の左側通行。

 

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多摩川駅に到着する1000系。右側を走っています。

 

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同じく7700系。踏切の検知器が……

 

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と、その折り返し。

 

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渡り線を通過中。

 

また池上線に戻って、池上駅付近。

 

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さっきの7700系。今日はもう日も傾いてきたなあ。

 

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池上駅。対向式ホーム。白い柱、白い地上駅舎、構内踏切。

いかにも池多摩っていう雰囲気の駅。

 

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途中で合流した妻も、池多摩の雰囲気が気に入ったようです。

(ところでこんなところでカメラ構えて、何を撮りたいんだろうか。)

 

 

結局

目的である古い電車は十分すぎるほど見ることができました。

7700系は当初7000系(初代)として製造されたもので、1980年代後半にボディ以外を一切合切改造して生まれた車両です。だからボディだけは50歳を超えるおじいちゃん電車。いつ首を切られてもおかしくない電車でした。

実際、後継となる7000系(2代目)の製造・運用開始により、いよいよ7700系は廃車される見通しだと話題になりました。しかし例の世界的な経済事情により計画は変更され、7700系は廃車を免れて今もこうして走っています。

とはいえやはり先が長くない電車です。今のうちに目に焼き付けておきたいものです。

 

鉄道マニアは最終運転間際に撮りに行き、そこらじゅうでひしめき合っているイメージがありますが、ああいうのはどうもマネできないね。