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定時退社を徹底していたら社会的に干された話

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定時退社ーーなんと甘美な響きでしょう。それは多くの人が憧れる生活、定時に帰って家族とご飯…そこには幸せだけがあるようにも見えます。ところが私は、定時退社を徹底した結果、社会的に干されることになりました。

 

定時退社するという働き方

 

新年度が始まり、大学卒業から初めて会社に勤めることになった人や転職により新しい職場に移った方も多いかと思います。新生活への期待や不安が入り混じる中、2016年の東大卒の女の子が過労により自殺した事件を皮切りに「働き方」に注目が集まっています。

 

日本全体を見てみても、女性と高齢者の社会進出が進み、量的な労働力は飽和しつつあります。日本がGDPを回復していくためには労働の質的向上が欠かせません。現状を改善するべく、政府主導の働き方改革実現会議も活発に行われ、「働き方」を見直し、多くの労働者が自分の能力を活かして活躍することが求められています。

 

そんな「働き方」に関して、私は定時退社を徹底しているのですが、その結果社会的に干されてしまいました。なぜ定時退社は嫌われるのか、定時退社のメリットとデメリットをお伝えしたいと思います。

 

定時退社について

まず、前提となる私の定時退社についてですが、私がこれまでに経験した職種は「営業職」と「バックオフィス」の二つです。このどちらでも定時退社を徹底しました。

 

営業職の定時退社

営業職が定時退社だなんて、そんなこと無理だと思われるかもしれません。確かに、所定労働時間内では無理でした。ただ、私は始まりと終わりの時間を決めずに仕事をすることができないので、残業時間を加味して毎日の出勤時間と退勤時間を決定していました。

 

時間になるとサッと帰るので、最初は周囲の人たちも驚いていました。しかし、しばらくすると慣れてきて、「私の定時」を認めてくれるようになりました。

 

定時で帰るなんて、成績が悪いからできることなのでは? と思われるかもしれませんが、私の当時の営業成績は同期トップ、部署全体で見ても上位に入っていましたので成績には特に影響は与えていませんでした。目標もずっと達成していたし、定時退社だからといって目標未達ということはありませんでした。

 

ただ、営業職に就いてから半年くらい経った頃、同期の異常なまでに残業する男がメキメキと成績を伸ばし、圧倒的な強さを誇る営業マンに成長するという出来事がありました。これはつまり、残業の勝利を意味します。質はもちろん大切なのですが、量は質と戦える力を持っているということです。この出来事があってから、定時で帰りたいスタイルの私が営業職でこれ以上活躍することはないなと思い、さっさとバックオフィスへの転身を決めました。

 

バックオフィスの定時退社

バックオフィス、とざっくりとした表現をしていますが、本当にバックオフィス全般の業務を行なっていました。全部やるなんて大変なのでは? と思われるかもしれませんが、それでもバックオフィスはバックオフィスです。経営者からの無茶振りはあれども1日8時間もあれば十分仕事は終わります。大まかな締め切りに向けて自分で業務を調整し、逆算して行けば問題はないというのが感想です。

 

社内でも、あの人は時間になると帰ってしまうからメールやチャットの連絡を見るのも翌日になる、ということで逆に時間を意識してもらえています。 

定時退社、いいじゃん! 私も、いいと思います。

 

定時退社の落とし穴

 

定時退社で昇給・昇進が止まる

定時退社には落とし穴があります。それは、仕事を依頼されにくくなること。会社という組織において、重宝されるのは「仕事を依頼しやすい人間」です。仕事を依頼してはじめて、この人信頼できるな! になったり、この人の仕事はちょっと微妙だな…という関係性が築かれていきます。定時退社する人間は、時間に制限があるのでとにかく仕事を依頼しにくい。仕事の依頼がないということは、社内でのコミュニケーションも当然ながら減少し、信頼感を持ってもらえる機会も損失し、昇給や昇進からも縁遠くなっていくことを示します。

 

24時間開いてるコンビニエンスストアと、9時にオープンして18時に閉まるスーパー、どっちが便利ですか? 24時間空いてるコンビニエンスストアですよね!

定時退社をしている人間が昇進しないのには、こういった秘密があったのです。忙しい人にはもっと仕事が回ってくる、というからくりの逆ですね。

 

定時退社は面接で落ちる

それでは転職でもするしかないか…と面接を受けにいったとします。面接に行くと必ず聞かれるのが「うちは残業が結構ありますが、残業はできますか?」です。新卒の就活の時もそうでしたが、残業しないと言ってくれる会社はまだ見たことがありません。

 

友人たちには「面接時くらい残業するって嘘つけよ! 入ってから残業せずに働けばいいじゃん」と言われるのですが、「今どういう働き方ですか?」と聞かれたら、私は前述の通り「残業せずに仕事を組んで、定時で帰ります。」という話をせざるを得ません。

 

定時で帰ると話した時の会社の反応は様々ですが、ポカーンとした顔をされることが多かったです。会社にはどんな残業が潜んでいるのでしょうか? 私が面接を受けた(そして落ちた)会社では

 

  • 営業だから量やらないと目標達成に影響が出ると思っている。
  • 新しい職場に来るのに残業して努力しないのはあり得ないという考え方。
  • 残業代で稼がないと十分な年収にならないのでみんなだらだら残っている。部長たちはなぜ部下が残業しているのかよく理解していない。
  • 質よりも量だ! という上司がいるから量をやるために残る。

 

というような残業理由がありました。

定時退社の言葉を出すたびに「あ、この人すぐに辞めちゃう人か」と面接官の顔色が変わるのも何度も体験しました。それでも、私は、帰りたい。

 

定時退社のメリットとデメリット

定時退社の良いところと悪いところをまとめます。あなたはどちらを手に入れたいですか? 

 

定時退社のメリット

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定時退社にはもちろんたくさんのメリットがあります。

 

  • 帰る時間が明確なので平日の業後に予定が入れやすい。
  • 晩御飯を自炊して食べられるので健康的&経済的。
  • 帰って副業したり、会社以外でも役立つ勉強をしたりできる。
  • 睡眠時間がたっぷり取れるので肌荒れや体調不良になりにくい。
  • 映画とかドラマとかめちゃくちゃ見られる。
  • ストレスもかなり少ない。

 

そう、定時退社には自由が多い!!!! これは最高だと思います。人に制限をかけられることが大嫌いな私には、本当に最高の生活だと思います。副業とか、ブログ書いたりとか、ちょっとした勉強をしたりとか、好き勝手に暮らしています。

 

定時退社のデメリット

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  • 給料が上がらない。
  • 副収入がないと生活が厳しいし、よくなることがない。
  • 同じ社内にいるとだんだんと仕事が減って暇になる。(社内ニート化)
  • 転職市場でも必要とされない。

 

定時退社のデメリットは、社会的に見てやばいものばかりです。転職市場でも必要とされないので、キャリアを積むとか不可能です。世の中にはもしかしたら、定時退社をしていても仕事がもらえて昇給できる素晴らしい会社もあるのかもしれません。でもそれには、社員全員が定時退社することによって、仕事の依頼可否を平等にしておく必要があります。

 

定時退社する人間は、残業する人が多い社会においては非常に使えない存在です。定時退社をするから依頼される仕事が減り、依頼されている仕事が少ないから定時退社が捗る。一度ループに入り込むと、定時退社じゃないルートに戻ることは至難の技です。だって、18時に会社を出れる生活って最高だと思いません? ここから、新たに仕事を請け負って21時とかまで働こうって思います? 普通、思わないですよ!!

 

もし、残業しないのが普通の世の中にさえなれば、仕事を依頼できる人が平等に、業務時間ではなく業務能力によって選ばれるようになってきて問題は解決されると思いますが、そんな世の中になる気が全くしません。

 

それでもあなたは定時退社を選びますか? 

私は定時退社の徹底で、社内では重大な仕事を任されることもなく、社外への転職も叶わないというどん詰まりに到達しました。幸い結婚しているので、このまま産休育休取得コースに駆け込むことになりそうです。これを良いと見るか、悪いと見るかは人によりますが、仕事に対する張り合いはないです。それが辛い。

 

キャリアを積みたい、昇進・昇給したいと思う人は、定時退社は諦めた方がいいと思います。逆に、そんなものは要らない、自由な生活が欲しい! という方は徹底して定時退社を貫きましょう。20代後半には、社会から干されるコースに入っていけると思います。干されると社内での不必要感が増して辛いですが、そうなったら違うところで居場所を探すしかありません。もしくは、時間に余裕があるのをいいことに社内で新たな仕事に着手したりして、自分の存在を守りましょう。

 

もちろん、定時退社をして他の仕事をするという手段もあります。求めるものが、多くの人に必要とされたい、大きなことを成し得たいなのであれば組織に固執せずに業務時間外を活用して事業を立ち上げてみてもいいかもしれません。ただ、定時退社タイプの人間は起業家とも違うと思うので、うまいこと組織の中でバランスを取りつつ両立させるのがいいとは思います。定時退社を好む人には、器用貧乏な人が多いと思うので。

 

時短勤務にも潜む、仕事がなくなる問題

育休明けの復帰、時短勤務などでも同じような現象が起こると思います。いつも会社にいる人の方が仕事が依頼しやすい。会社にいない、すぐに帰ってしまう人は徐々に依頼される仕事が減っていくスパイラル。でも、家に帰ってやることがあるのであれば、それも業務の調整の一つとして悪いことではありません。

 

ただ、キャリアを積みづらくなったり昇給・昇進に影響が出てくることは防げないでしょう。24時間営業を辞めた飲食チェーンのように、全員が一斉に残業をやめて定時退社できるようになれば、仕事の依頼に関する不平等はなくなり、時間が限られているからこそ高いパフォーマンスで成果を残すこともできるようになるのではないでしょうか。

 

とはいえ、現在はそれができない環境であるという事実があります。

 

まとめ

新生活、まずは仕事に慣れることからとは思いますが、自分がどこへ行き着くのかは働き方によっても左右されるということをぜひ覚えておいてください。