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個人カーシェアリングのAnyca(エニカ)、車を愛する人にはオススメできない。

急ぐ車のイラスト

カーシェアアプリ Anyca(エニカ)を検討している皆様へ。

 

ボールペンのインクが切れたらインクだけ交換して外側は再利用する、うたこの夫です。ものをとても丁寧に扱うわけではありませんが、こだわりをもって選び、そして使う男です。

当然車もこだわりをもって使っています。命を預ける基幹部品であるタイヤはいいものを履かせたり、点検やオイル交換は定期的に行ったりしています。パーツを取り付けたり、改造したりということもしていません。スマホホルダーはつけたけどね。屋内保管で汚れないように乗っていますが、もし汚れたときや3か月経ったときは洗車をします。

 

しかし、洗車はだいたい業者任せですし、飛び石や塗装の浮き、細かい傷なんかがあってもほとんど気にしません。オープンカーでなければ洗車機にお任せしちゃっています。

 

つまり私は、「安心して確実に動かせれば多少の見た目は気にしない」男です。

その辺の価値観が一致しているから、オーストリア鉄道、特にrailjetにハマったんでしょうね(笑)

 

utautan.hatenablog.com

 

そんな男が、どういうわけか愛車で個人間のカーシェアリングを始めちゃった、そしてすぐに痛い目に遭っているというお話です。

 

個人間のカーシェアリングって?

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読んで字のごとく、個人間で行うカーシェアです。

もちろん、ある会社がプラットフォームを提供しているので、完全個人ではありませんが。

マイカーを持っている人は、使っていない時間だけマイカー貸し出します。

車を使いたい人は、希望の時間帯・条件に合う車を見つけ、借ります。

マイカーを持っている人にとっては、空いている時間と資産(車)の有効な活用になりますし、借りる人にとってはレンタカーよりも安く借りられるというメリットがあります。

私も、お試しに。。。という気持ちで、ある日始めました。

登録したのは、Anyca(エニカ)というサービスです。

 

anyca.net

Anyca(エニカ)って?

株式会社DeNAが運営するカーシェアサービスおよびそのアプリです。

「"乗ってみたい"に出会えるカーシェアアプリ Anyca(エニカ)」

と銘打つように、たくさんの人がマイカーを登録しているので、いろいろな車をいろいろな場所で借りられるのが売りの一つです。

また、東京海上日動とも連動しているので、無保険状態で貸し出すようなことにはならないシステムになっています。

(とはいえ、これも非常に怖い内容のクソ保険ですが。)

支払いもクレジットカード決済となっているので、料金収受は確実ですし、よほどの変な人は現れません。

2017年9月に2周年を迎えたそうです。

 

こんなシステム

マイカーを持っている人は、「オーナー」登録をします。

この時、どんな料金で、どこで、……どういう条件で貸すのかを決めます。車検証の写真も必要になります。魅力的な紹介文も書きます。しばらくすると登録された車は貸し出し可能になります。ちなみに、料金は購入費用や使用状況などから上限額が自動計算されます。あくまでカーシェアですので、儲けが出ないようになっているようです。

 

「ドライバー」と呼ばれる借りる側の人は、アプリで希望に合う車を探します。

料金・車種・受け渡し場所・使用条件……さまざまな条件を見て、借りる車を選びます。

借りたい車が決まったらドライバーがオーナーにアプリ内で連絡を取り、オーナーがそれを承認したら予約成立となります。

 

貸し出す前にオーナーは、マイカーの傷の確認をします。写真撮影が必要です。

当日は指定した受け渡し場所で待ち合わせをし、オーナー・ドライバー双方の免許証確認と傷の確認をして、貸し出し開始です。

 

貸出期間中、ドライバーは東京海上日動の1日自動車保険に自動的にに加入することになっています。ただし車への補償額は300万円まで、免責10万円となっています。

返却は指定した場所で待ち合わせをし、傷を確認したら終了です。

ドライバーは利用月の決済となります。オーナーに入ってくる料金は、貸した最終日が含まれる月の翌月の最終日に銀行に振り込まれます。

 

入った目的

車の維持費のイラスト

やっぱり土日以外に車に乗る時間がない!

寝かせとくのももったいないから、駐車場代の足しになるだけ小銭稼ぎができればいいな!

 

よかったところ

①確かに駐車場代の半分くらいの小銭稼ぎができた。

マジでそれだけ

 

やめようと思ったわけ トップ5

挙げるときりがないので、上位5つだけ紹介します。

 

①思ったより借りてくれない

"都心の駅に近い!”

"根強い人気のS2000! 後期最終型フルノーマル! タイプS!″

これ絶対人が集まるだろ、って思っていました。けど、せいぜい月に3組です。

そりゃそうか、みんなお金があって暇なわけじゃない。

かといって単価を上げるともっと来なくなる。

こりゃ、後述するリスクの割に合わないな。

 

②距離が延びた

車は、総走行距離が延びるとその分価値が下がっていきます。とはいえ価値が下がるのが嫌だから使わない、というのは本末転倒。大体1か月に1000kmが平均的な使われ方だそうです。我が愛車S2000は休日専用マシンですので、大体毎月4~600kmくらい走っています。

 

車を貸すということは、自分じゃない人が走行距離を延ばすことになります。一日に300kmくらいなら、「まあ一日かけて遠出をすればこんなもんか」と理解できます。S2000は街中でちょろちょろ走るだけじゃ全然面白くないので、多少遠出をするくらいならいいや、と思っていました。片道150kmだと、関東の観光地は大体射程圏内です。

一応、走行距離制限はかけられるけど、だいたいみんな一日400キロ前後だろう。

わざわざ制限をかけてしり込みさせる必要はないか、ということでドライバーさんの良心と常識を頼みに、距離制限はかけていませんでした。

 

しかしその認識は甘かったのです。だいたいのドライバーさんは私の予想通り300km前後の走行でしたが、中には尋常じゃない距離を走る方もいらしゃいました。

ある日、返却場所に帰ってきた我が愛車のトリップメーター(走行距離計)を見ると

 

712km

 

と表示されていました。出発前にゼロにしていたのに。

24時間以内で700kmって。俺の1か月以上乗ってんじゃん。

東京・仙台を往復する計算です。

行先を尋ねると、だいたい仙台と同じくらい離れた都市でした。

心の底から、新幹線乗れよ……と思いました。

急ぐ車のイラスト

 

③ドライバーの技量と人に貸す不安

自分の車でも家族や親戚、友達に運転をしてもらうことはあります(S2000ではまだほとんどありませんが)。その場合ほとんどが同乗走行ですし、相手の技量もだいたい分かっています。だから安心して運転してもらうことができます。また、上手な人に運転をしてもらい、その助手席にいると、得も言われぬイイ気持ちになります。

 

「車が滑らかに元気よく動いている感じがする! 自分もうまくなりたいな。」

これは本当に楽しい経験です。私は、特にいとこの運転が好きです。

 

逆に、当たり前ですがへたっぴには貸しませんよね。幸い私の周りには「S2000運転したい」っていうへたっぴは居ませんし、私もへたっぴを自覚しているので、人の車を運転したいとは言いません。

 

しかし、カーシェアに出すということは、見ず知らずの人に車を貸すということです。免許証に記載されている情報はわかりますが、どんな技量を持った人が乗るかはわかりません。同乗走行はあり得ません。見えないところでどんな使われ方をしているか。車が帰ってくるまで不安です。

 

私の車を借りた人は100%が20代男性。そのうちの半分近くが学生さんで、免許の色はグリーンが多数。ちなみにドライバー登録が一番厚いのもこの層です。もちろん全員が全員へたっぴだとは思いません。

実際に、ものすごく上手な方もいらっしゃいましたし、私以上に丁寧に扱ってくださる方もいらっしゃいました。こういう方にはまたお貸ししたいなと思いますが、やはりそうではない方もいらっしゃるのが実際。

 

受け渡し手続きが終わって、発進を見送ると、半クラがうまくできないのでしょう。

ウオオオオオォォォォォォン!

って、ものすごく吹かして行った……ということが何回かありました。

 

そういうときは、一日中不安で不安でたまりません。

 

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ちなみにですが、運転がうまい人・丁寧に扱ってくれる人には傾向がありました。

・すでにマイカー(特にスポーツカー)を持っている・持っていた人

・ゴールド免許

こういう人に限定してお貸しするようにすれば安心ですね。

 

④生活リズム

 Anyca(エニカ)の料金は、24時間刻みです。だから同じ料金で最大限まで楽しもうと、まるまる24時間借りるというドライバーさんも多くいらっしゃいます。それはそれでいいのですが、休日を有効活用するためでしょうか、

 

24時貸出、翌24時返却

という問い合わせがありました。貸し出しか返却のどちらか一方なら深夜帯でもいいんだけど、さすがに2日連続で深夜帯は生活リズムが乱れるぞと。挙句の果てには

「休日の渋滞で時間通りに返せません。25時ごろなら到着できそうです。

ということも。

信じらんない。丑の刻参りだ

ふつうは渋滞を見越して計画を立てるものじゃないのかと。百歩譲って、不慣れで計画が立てられなかったにせよ、夜中1時に返却って人の生活を何だと思っているのかと。

休日を有効に使いたいという気持ちは、本当によくわかるんだけどね。

 

寝不足・夜更かしの男性のイラスト

 

 

 

⑤クラッチが削れた

先述の通り、ドライバーさんの中には運転が上手で丁寧に扱ってくださる方もいらっしゃいます。(そういう方が多数派であることを願っています)

ですが、やはりその逆もいらっしゃるのも事実。

 

ある日、返却手続きを終えて車庫まで回送しようとしたとき。

アクセルペダルに右足を乗せてわずかに回転を上げつつ、左足を少し浮かせてクラッチぺダルを上げます。

御存じの方も多いと思いますが、MT車の発進はこうやって行います。

 

すると、いつもの位置(真ん中くらい)までクラッチペダルを上げてもなかなか発進しません。恐る恐るペダルを上げていきますが、なかなか発進しません。

ペダルがようやく遊びのギリギリまで上がった時、車がゆっくり動き始めました。

 

もうお分かりですね。

クラッチが削れていたんです。幸い、走行できる程度ではありましたが、一気に寿命を縮められてしまいました。今の車は油圧でクラッチのミートポイントを合わせてくれるはずなのですが、もう限界ギリギリまで来ています。想像するに、クラッチペダルに足を乗せたまま走っていたのでしょうね。

 

クラッチ交換には数万円かかります。いままでAnyca(エニカ)で集めたお金以上の出費になります。

そうそう、Anyca(エニカ)の保険は、普通の自動車保険です。ですから事故の補償は300万円までしてくれますが、当然、部品の破損や故障には対応してくれません。ドライバーがクラッチをガリガリ削って走れなくなっても、何にも補償してくれません。

また、事故があって修理や買い替えに300万円以上をかけた場合、300万円を超える金額をドライバーが負担することになります。これまでのドライバーさんたちの層から考えるに、そこまで金銭的余裕もなさそう。

 

 

もうこれやってるだけ車がダメになるだけだ。

事故車のイラスト

 

いや、本当は解決策としては2つあります。

 ①貸し出し単価を上げる

  同じく都心でS2000を貸し出しているオーナーさんがいらっしゃいます。

  貸し出し料金は私の1.5倍程度ですが、借りている人はいない様子です。

  レンタカーで同車種を借りるよりもよっぽど安いのに。

  また、私の拠点近くでは高級スポーツカーが多く貸し出されています。

  私の車の単価を上げると、それらの車とバッティングすることになります。

  ということで、単価を上げると借りてくれなくなる可能性があります。

 

 ②借りる人の条件を付ける

       先程書いたような、運転が上手い人、丁寧に扱ってくれるドライバーさんなら、ほとんど何にも心配はありません。

       こういう方々になら、どんどん乗ってもらいたいとおもっています。

  Anyca(エニカ)では、オーナー、ドライバー双方の免許証の確認がなされます。

  貸し出し当日になれば、免許を取ってからの期間や免許証の色もわかります。

  が、運転技量を確認するためにはそれぞれオーナーが質問しなければいけません。

  そして、それに対するドライバーの回答の真偽をオーナーは確認できません。

  極端な話、ドライバーが嘘ついてもわかんない。

  「MT車運転歴長いです! スポーツカーにも乗っています!」

  って言っていたって、嘘か本当か、オーナーにはわかりません。

       こんなくだらないことで嘘をつく人はいないと思いますが、確実にいないとも言い切れません。

 

ということで、どっちにしたって実効性のある解決策ではありません。

今よりマシになるかもしれないけど、車の状態が悪くなっていくのが早いか遅いかの違いしか出ません。

車にとって、いいことなし!

 ごめんよ、ぼくのS2000。。。

 

やめる決心をして

そうして私はAnyca(エニカ)をやめる決心をしました。

でも、契約期間の都合?なのかな? すぐにはやめられないようなので、

とりあえず値上げして様子見をしています。

サービスのコンセプトや内容は別に不満はありません。

むしろこれから主流になっていってほしいと思っています。

一番課題視すべきなのは、ドライバーの平均レベルの低さです。

こちらには現在のAnyca(エニカ)のデータがインフォグラフィックでもって紹介されています。

 

anyca.net

 

ご覧いただいてわかるように、市場もまだ大きくありませんし、平均年齢も低い。

ドライバーの1/3が20代。

借りたい理由が「好きな車がある」「安いから」。

 

実用重視のファミリーカーならまだしも、趣味性の高い車は、「免許を取ったばかりの人」や、「スポーツカーやいい車が欲しいけど買えない人」が、「レンタカーよりも安いから」という理由で借りていくことになります。

もう、平均的な客層がわかりますよね。

 

お金がない車好き。

 

ここから考えられることはみなさんにお任せいたしますが、私はこのデータがAnyca(エニカ)をやめる後押しとなりました。

運転が上手なドライバーさんも、丁寧に扱ってくれるドライバーさんも多いことは分かっています。

でも、たったの一人でも雑に扱うドライバーさん当たれば、それだけでオーナーにとっては不安の種。

 というか、負債。

もっと言えば、爆弾。

私にはそれが早く回ってきてしまったというわけ。

 

まとめ

Anyca(エニカ)を使おう

 ・安く車を借りられる(ドライバーとして)

 ・いろんな車を借りられる(ドライバーとして)

 ・愛車の遊休時間の有効活用(オーナーとして)

 ・壊れにくい車を持っている(オーナーとして)

 ・車を通したコミュニティ形成(双方)

 

Anyca(エニカ)を使うな

 ・ヘタなドライバーが使うと、車が一気に消耗する。

 ・試乗車代わりに使う人もいる

 ・「レンタカー」だと思って雑に使う人がいる

 ・特にMT車のクラッチなどドライバーの技量が直接反映される部品が心配

 ・ 交換・修繕費 > Anyca(エニカ)での収入

 

こんな人におすすめ

 ・車を直ぐに修理に出せる余裕がある

 ・車を複数台所有している

 ・いつでも対応できる

 

おすすめできない人

 ・車に愛着がある

 ・ものを大切に扱いたい

 

追記(運営もヘン)

Anyca(エニカ)をやめる決心をした翌日、突然、Anyca(エニカ)運営からメッセージが来ました。夜中に。

運営「この度、(某走り屋漫画)とコラボしたイベントを●月●日に(某サーキット)で行うことになりました。80km/hで追い越しなしの試乗走行会です。~~(中略)~~つきましては、(漫画)に登場するS2000をシェアされている(わたし)様に声をかけさせていただきました。急なお願いで誠に申し訳ございませんが、当日参加していただき、シェアをしていただくことは可能でしょうか?」

だいたい、こんな内容です。趣旨は分かりました。

 

私はこのメッセージをもらって、ちょっと考えました。

 ①そもそもAnyca(エニカ)でのシェアで一気に車が劣化したから退会するつもりだ

 ②某漫画コラボの試乗イベントって、絶対平均年齢低いやつだ

  ⇒ツイッター検索で調べると、このイベントに参加意欲をもっているのはやっぱり私が憂うドライバー層が多かった!

 ③●月って、今月だ!! そんな楽しくなさそうな予定は急に入れたくない!

そもそもどうやって80km/hを保証するんだ!

 

ということで、すぐお断りのメッセージを送りました。

わたし「申し訳ございませんが、お断りさせていただきます。(シェアで車が一気に劣化してきたので退会するつもりであること)、(走行会でのドライバーの技量に不安があること)……」

するとすぐに返信が来ました。

運営「そうでしたか。(中略)お察しいたします。」

うんうん。ありがとう。希望に添えなくて申し訳ない。

運営「最後に一点ご相談ですが、(わたし)がサーキット内を運転して助手席に乗せるということは可能でしょうか。可能であれば、壱万円をお礼としてお渡しさせていただきます。(後略)」

 

「壱」が旧書体である。

なるほどね、私が運転すれば、ドライバー技量の不安はなくなるね。

でもそれおかしい。

 

参加者が車を運転できない試乗イベントは、試乗イベントではない。

そんなの参加者がかわいそう。

さらに、(某サーキット)まで車も私も出張って、報酬は1万円。

都心から高速使ったら往復するだけで赤字。

見も知らぬ誰かを横に乗せるためだけに他県のサーキット行って赤字出せと言うのである。

それもあと2・3週間後という直近の話。

参加者、私、どちらにもメリットがない。 では喜ぶのは誰か。

当然、運営だけである。

 

ばかじゃなかろか。

それに、(某走り屋漫画)に出てくるS2000はAP1だ。

私のはAP2であって、車名は同じでも厳密には別物! 

 

 

というわけで、Anyca(エニカ)にはお世話になりましたが、私の車に集まる層(の一部、と思いたい)、そして運営のお考えが私には合わないことがよーくわかりましたので、心おきなく退会できそうだ、という次第。

そもそも、自分の車を買った理由を考えると、人に貸し出すというのはコンセプトから外れていたのかもしれない。

でも、値上げしても予約が付けば続けちゃうかも。