関西で生まれ育った人にとって、うどんと言えば「讃岐うどん」一択。世界最高峰、うどんだけで構成されている県まであるくらいなのだから、「讃岐うどん」以外はうどんではないと思ってしまっても仕方ありません。
でも、日本には「讃岐うどん」以外にもうどんの種類があるのです。香川県の「讃岐うどん」、 秋田県の「稲庭うどん」、富山県の「氷見うどん(ひみうどん)」、群馬県の「水沢うどん」、長崎県「五島うどん」そして、今回食べに行ったのが……富士吉田市で誕生した「吉田のうどん」です。
吉田のうどんの『渡辺うどん』@河口湖
「吉田のうどん」は、富士吉田市の風土や文化によって生まれました。
富士吉田市は高原都市である上に、富士山の噴火による溶岩流や火山灰で稲作には向かない土地でした。そのため畑作が中心になり、大麦・小麦・あわ・ひえ・とうもろこしなどの雑穀類を栽培し、それらを原料とする「すいとん」を主食とする生活が行われていました。
昭和初期には織物業が盛んで、女性が織物業に専念できるようにと昼食を作るのは男性の役割だったそうです。腹持ちのいいうどんを作ろうと力任せにうどんをこねたところ、歯ごたえがありコシの強いうどんが主流になったそうです。
これを東京や大阪から買い付けにきた商人に振る舞ったところたちまち人気になり、うどんで商売を始める人も増えていきました。
これが、「吉田のうどん」の始まりです。
「吉田のうどん」は富士吉田市の郷土料理であり、まるで民家のような店舗でうどんが食べられるのが特徴です。『渡辺うどん』のお店も、おじいちゃんちかな? って感じの雰囲気がありました。
注文も、全然聞きに来る気配がないと思ったら申告制でした。慣れている人は大声で叫んでましたが、私は厨房まで注文しにいきました。
確か、前払いだったような……? 色々慣れないシステムだなぁと思ったのを覚えています。
席へも特に案内されないので、空いているところに座って(微妙に相席になることもあるのでお邪魔します〜って感じで。)座布団も、その辺に積んであるものを自分で持っていくスタイルでした。
二人とも肉玉うどんにしました。左が肉玉うどん(大)650円、右が肉玉うどん(中)450円です。
「吉田のうどん」は醤油と味噌のブレンドが主流で、付け合わせの具材が色々あるのが特徴です。この辺りでは馬肉がよく食べられているため、みりんや醤油、酒、砂糖で煮付けた肉が使われることが多いそう。
このお肉も、牛肉っぽくはなかったので馬肉かな……?
大サイズと並ぶと小さく見えますが、中サイズでも十分な食べ応えがありました。
テーブルの上には天かすがどかっと置かれ、薬味やなんやで好きに味変できます。
「吉田のうどん」の基本は自家製麺! 噛めば噛むほど味が出る、太めのねじれ麺です。これがなかなか、もっちもっちした硬めの歯ごたえで美味しい。
働け働け! さっと食ったらすぐに仕事だ!!! という時代の片鱗を見たような気がします。
店舗情報
アクセス | 東富士五湖道路「山中湖」ICよりR138経由車5分 |
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営業時間 | 11:00~14:00(うどんなくなり次第終了) |
定休日 | 水曜日(祝日の場合は営業) |