妊娠し、無事につわりを乗り越え、安定期に差し掛かる頃に「クアトロテストは受けますか?」と聞かれました。クアトロテストとは、胎児にダウン症やその他いくつかの染色体異常があるかどうかの確率を算出するテストのことです。
少し考えましたが、受けることにしました。
この記事では、クアトロテストで分かること、テストを受けてみて思ったことを記そうと思います。妊娠中の方やこれから予定がある方、クアトロテストについて気になっている方の参考になれば幸いです。
出生前の診断について
まずはじめに出生前の胎児の診断方法について説明します。
胎児の染色体異常による障害の有無を調べる検査は、下記の4つがあります。
- クアトロテスト(母体血清マーカーテスト)
- 羊水検査
- 絨毛検査
- 新型出生前診断(母体血胎児染色体検査(NIPT))
受診のパターンとしては、
- クアトロテストだけ
- クアトロテストの結果を受けて羊水検査
- クアトロテストの結果を受けて新型出生前診断
- 初めから羊水検査
- 初めから絨毛検査
となることが多いようです。
クアトロテスト
母体の血液を採取し、胎児の染色体異常を調べることができます。14〜15週から受けられますが、17週ごろまでしか受けられません。
羊水検査
お腹から、もしくは膣から針を刺して羊水を採取し検査する。ごく稀に流産や合併症を引き起こす可能性があります。(3%程度らしいけど)
絨毛検査
絨毛検査については、私もこの記事を書くために調べていて初めて知りました。10〜14週という、比較的早い段階で受けられる検査です。
新型出生前診断
日本でも2013年に始まった新型出生前診断は、母体の血液から遺伝子情報を解析し、胎児の染色体異常の可能性を発見することができます。
お腹に針を刺して羊水を検出する羊水検査よりも安全性が高いと言われていますが、受診するのに制限があるため誰でも受けられるわけではありません。
- 胎児超音波スクリーニング検査や母体血清マーカーテストで、染色体異常の可能性があると診断されている
- 過去に染色体の数に異常がある赤ちゃんを妊娠していた
- 高齢妊娠
- 両親のどちらかに均衡型ロバートソン転座という染色体異常があり、胎児が13トリソミーまたは21トリソミーである可能性が指摘されている
これらの条件に当てはまった時にしか受診はできません。
金額は病院によっても様々なので一概には言えませんが、クアトロテストは保険適用外で2〜3万円、それ以外の検査も保険適用外で20万円前後となります。
それぞれの検査で結果が出るまでの期間は大体2週間くらいです。日本では22週以降の中絶は法律で禁止されているため、何かあった時の行動はそれまでに起こさなければなりません。
検査を予約するのにも時間がかかり、結果を得るまでにも時間がかかります。
結果を受けた後の次の行動は何か? 何をしておくべきか? というのを、事前に準備しておくようにしましょう。
クアトロテストを受ける時に考えておくこと
母体の血液を採取するだけで胎児の染色体異常を発見できるクアトロテスト、非常に便利ですが活用の仕方にはコツがあります。まずはクアトロテストの特徴を押さえておきましょう。
クアトロテストで分かること
クアトロテストで検査できるのは、下記の3つの染色体異常です。
- ダウン症候群
- 18トリソミー
- 開放性神経管奇形
さらにいうと、自分の胎児の染色体異常の「可能性」が分かるだけです。
こちらは、女性の年齢別染色体異常の発生確率のグラフです。歳を取るほど染色体異常をもつ子供の生まれてくる確率が高くなることがわかります。
しかし、この確率はあくまでも全体の確率。私は29歳なので、ダウン症児の可能性が1/952、そのほかの染色体異常の可能性が1/384です。
全体としてはそれくらいの確率ですが、自分の子供がそうであるかどうかは、0か1かじゃないですか。全体の確率を見ていたところでラチがあかないのです。
クアトロテストは、母体の年齢や体重、血液の解析から「あなたの場合の確率」を算出してくれるものです。
結果の出方と解釈について
クアトロテストの結果の出方とと解釈の仕方は以下になります。
結果:1/5000
→あなたの場合染色体異常の可能性は99.98%ない
=通常の確率よりもさらに低いので大丈夫でしょう
結果:1/20
→あなたの場合染色体異常の可能性は95%ない
=しかし、5%はあるので通常より高い確率。確定診断をするために羊水検査に進みますか?
なので、検査を受ける前には検査結果を受けて次にどんなアクションを取るのかを考えておく必要があります。一応、年齢でみてこれ以上の確率であれば問題ないでしょうとみなす「スクリーニング陽性・陰性」の基準はあるのですが、自分の中でもさらなる検査に進むための基準は考えておきましょう。
それを何も考えずに「なんとなく」受けると、結果を受けた時に迷い・戸惑い・受け入れられないなどで次のアクションに遅れが出ます。
我が家は、スクリーニングの結果が1/100以上であれば羊水検査に進み、確定診断を受けようと思っていました。
クアトロテストの結果
結果発表の用紙サンプルを載せておこうと思います。クアトロテストは日本国内では行われておらず、血液は海を渡り解析されて帰ってきます。
私が受診した病院では、クアトロテストは韓国の会社を使っているみたいです。サイトもありました。
ということで、全部英語です。
こんな感じの、模擬試験の結果みたいな雰囲気で帰って来ます。上半分には母体の情報、血液の解析結果が出ており、中央部分に
- ダウン症候群
- 18トリソミー
- 開放性神経管奇形
それぞれの確率が示されています。
下半分にある大きめの枠に所見が示され、陽性なのか陰性なのかが書かれています。
それぞれの確率を見てみると、私の年齢での全体の確率よりも数値が低いことが分かります。
ダウン症に関しては1/1200なので、99.91%は大丈夫でしょうという結果です。ただ、これでも可能性は0ではありません。0.09%は可能性があります。
でも、人間として生きている限りここまでの確率を気にしていたらやっていられません!
交通事故にあって死ぬ確率が0.0046%、ガンで死ぬ確率が0.29%、宝くじで1等が当たる確率が0.00001%です。
どこにBetするかは各自の自由です。私は99.91%の方にBetすることにしました。
クアトロテストは意味がない?
確率しかわからないのであれば意味がない、としている人もいます。年齢的にどうしても高い確率が出るからはじめから羊水検査を受けた方がいいということもあります。
自分の年齢リスクを考えてどの検査から開始し、検査結果を受けてどう行動するのかを事前に決めておくことが大切です。
まとめ
私は「安心する」ためではなく「染色体異常が認められた時には中絶する」ために検査を受けました。この辺りの考え方については本当に人それぞれだと思いますが、大切なのはきちんと向き合って考えることだと思います。考えないことが一番良くない。
検査の結果を受けて染色体異常に関しては「ほぼないだろう」と判断することにしましたが、こうした出生前の検査ではわからない障害もたくさんあります。発達障害や自閉症、生まれてくるとき、事故や病気、予測できない障害が発生することは当然「可能性がある」中で、子供を産んで育てるのです。
自分自身だって、生きている限りはノーリスクではありません。でも、リスクを取らないとリターンは得られないのも人生のことわり。
これから先に待ち受ける未来に対しても、夫婦揃って立ち向かっていこうと思います。