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都心、大雪だったってサ

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こんにちは。うたこの夫です。

東京都心で10cmの積雪があったそうですね。

まるで他人事ですが、私も直接影響を受けた一人です。

と言っても、ちょっと混雑した電車に乗って雪の帰り道を歩いただけで、何にも困ったことはありませんでした。

毎年、東京で雪が降ると、それがニュースになり、そして全国から 「これだから東京は(笑)」
という声が集まります。

不思議だと思いませんか。

生まれも育ちも都区内(ギリ旧東京市ではないですが)の私が、なぜそのようになるのか、ど うやって対応すればよいのかを考えてみました。

 

 

 

なぜニュースになるのか

東京に雪が降ると決まってニュースになるのはなぜでしょう。

珍しいから?

都民が喜んでいるから?

「日本のみなさん! 東京はこんなに大変です!!」

がしたいから?

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多分、違いますよ。

あらゆるものが止まってしまうから

です。

まず忘れないで欲しいのは、もはや東京の降雪は珍しくないということ。

そりゃ、全国的に見ればとても少ない部類です。

でも、雪は毎年降っています。

そして、ここ10年ほどで積もることも多くなりました。

私が子供の頃とはちょっと様子が違います。

 

 

なぜなんでも止まるの

なぜ、雪でなんでも止まってしまうのかって?

簡単に言えば、雪に対応する装備やインフラが乏しいからです。

 

 

道路交通が止まる

東京の道路には消雪パイプや流雪溝がありません。

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雪が降るならつければいいじゃないって思うかもしれませんが、そういうわけにはまいりません。

まず、都内の道路総延長は約12,000kmあります。

そのうち都区内の幹線道路は約1,100kmです。

年に1・2回の積雪のために、1,100kmも消雪パイプを埋設するでしょうか。

気軽には「やろう」とはなりません。

例え距離を短くしたとしても、東京の交通を止めてまで入れるメリットがあるのでしょうか。

計算しないと分かりませんが、きっと、計算した結果が今の状況なのでしょう。

また、東京で自家用車を持つ家庭では、スタッドレスタイヤはあまり一般的ではありません。

地域によるのかもしれませんが、少なくとも私の地元ではほとんどありませんでした。

自家用車を通勤に用いないからでしょうか、「雪が降ったら乗らなきゃいい」で済むからです。

でも中にはそうならない/できない人もいるわけで、そういった人たちのほとんどはスタッドレスタイヤを持っています。

しかし、一部の人はスタッドレスタイヤをもたず、ノーマルタイヤのまま雪道や氷道を走ってしまうことがあります。

そうすると立ち往生したり事故を起こしてしまったりすることが多くなります。

先日も、私の家の近くの何の変哲もない交差点で事故がありました。

こういった事故によって道路がどんどんふさがれて渋滞になり、渋滞がつながって交通がマヒします。

 

鉄道が止まる

雪が多い地方を走る電車には、線路の雪を押しのける排雪板「スノープラウ」があります。

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☝一番下にある、黒い板がスノープラウです。

 

この板で、線路上に積もった雪を力強く押しのけるのです。

だから、多少の積雪でも問題なく走れるのです。

一方、東京の電車の多くにはスノープラウが付いていません。

その他、機械を雪から守ったり、凍り付いたりしないようにする装置も十分ではありません。

雪が無いときはただのデッドウェイトになってしまうからです。

もちろん、製造コストや維持コストだって跳ね上がります。

また、電車の数も尋常ではありません。

例えば都心を走る電車の一つ、京浜東北線には、電車が82編成あります。

これは、新潟県のJRの在来線電車のほぼ全てを担当する新潟車両センターに所属する全ての編成(80編成)とほぼ同じ数です。

都区内を走る電車だけをとっても、この何倍もの数が走っています。

それらに全てに、年に1・2回の積雪に対応する装備を付けるでしょうか。

やはり、気軽には「やろう」とはなりません。

車両だけでなく、線路やその周辺の機械についても雪対策が必要になります。

ここ10年ほどで東京の鉄道でも雪対策は進められてきていますが、まだ足りないところもあることでしょう。

さらに、ダイヤの密度も段違いです。

加速性能や減速性能を高め、ギリギリまで運転間隔を詰めた東京の鉄道では、雪の影響でブレーキの効きが悪くなると、それだけで遅延につながってしまう場合があります。

だから、いわゆる「間引き運転」などが実施されることがあるのです。

 

 

人々の装備と経験

「東京の人は雪に弱い」というのは当たっています。

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だって、雪の上を歩くのには慣れていないのですから。

私もそうです。

ペンギン歩きとか、経験や伝聞でいろいろポイントを身につけましたが、それでも雪国の小学生よりも歩くのが下手だと思います。

そもそも靴が違います。

雪道用の靴を持っていません。

もちろん年1でも雪装備は、あった方がいいとは思いますが、優先順位は低くなりがちです。

よく、テレビ中継でスッ転ぶ人が映ります。

確かに転ぶ人はそれなりにいらっしゃいます。

雪に慣れていないのもあるかもしれません。

雪靴がないのも原因かもしれません。

でも、融雪も消雪パイプもない道路を歩くとなったら、雪国の方も少しは気を付けるんじゃないで しょうか。

その「少しは気を付ける」が東京の人にできるかどうかの違いなのだと思います。

雪道を安全に歩くだけの経験と技能が、足りていないのかもしれません。

 

 

旅客貨物の流動が止まる

東京の周辺には、物流の拠点が多数あります。

東京港や横浜港、羽田空港、成田空港。

その周辺にはトラックターミナルや貨物駅、そして湾岸に広がる工業地帯。

これらの多くはトラックでつながっています。

そのトラックが走る主要国道や高速道路が、雪のため規制されてしまうと、物流が滞ってしまいます。

もちろん、道路もトラックもそれなりに雪対策はされているはずですが、 その他の車がその限りではないので、もらい事故的に止まってしまうのです。

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そして、半日だけでも交通マヒによる経済損失は馬鹿にならない金額になります。 (国交省が論文を出していましたね。)

また、空港も雪の影響を受けます。

雪装備が貧弱とかそういうのではなくて、雪による視界不良などで離着陸に時間がかかり、 ただでさえ過密なスケジュールがさらに圧迫されるということです。

鉄道も同様に、遅延が発生・拡大しやすくなっています。

航空便や長距離列車の遅延・欠航は、他の地域にも影響を及ぼします。

当該の便だけでなく、それと接続を図る乗換列車も遅らせることになるので、遅延が他の路線・ 地域に拡大していくのです。

そして、東京には多数の航空便・列車・バスが発着するので、他の地域への影響力も大きいと考えられますね。

 

 

経済活動

東京には多数の大企業が集まっています。

その数は大阪のおよそ4倍で、全国1位です。

当然ですが東京は日本の経済的中心地と言って間違いないでしょう。

東京の経済状況は、日本の経済に大きく影響します。

もし、これらの企業に勤める人々が雪による交通マヒで何割かでも出勤出来なくなった場合、多少なりとも経済活動には影響が出るでしょう。※これは私の想像なので裏付けはありません

また、先述の通り、貨物流動が一時的に停止したときにも経済損失が発生します。

以上から、東京での雪は全国の経済に影響を及ぼすと考えられます。

現に1月6日のTOPIXも、右肩下がりでしたね。

 

 

つまり、なんでも止まる

交通が止まる⇒経済に影響する

だからニュースにする価値があるのです。

駅前で誰かスッ転んでいる様子を見てキャッキャしている人、ちょっとのんきかも。

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??「東京、雪対策すればいいじゃん」

確かにそうかもしれません。

雪対策が十分にできれば、これまで挙げてきた東京の問題点が一挙に解決できます。

道路に消雪パイプを埋め、駅前はロードヒーティングして、除雪車を配置し、鉄道車両には耐雪ブレーキとスノープロウを装備して......

順次実施しているものもありますが、全部を完了させるとなると、ちょっと先が見えない話になりそうですね。

それよりも税金や資金を投入する優先順位が高い事案がたくさんあります。

 

 

 

東京の人がやっておいたほうがいいこと

生まれも育ちも東京のものなので、間違っていたり不足しているものがあるかもしれません。

もしそのようなことがあれば、コメント等でお知らせいただければと思います。

 

・水やお湯を流さない
お店の前でお湯を流して雪を溶かそうとしていた人がいました。

その瞬間はよかったのかもしれませんが、翌朝そのお店の前はスケートリンクと化していました。

気温が高くならない場合は、水やお湯を掛けないほうがよいそうです。

地道に雪かきをするのがよろしいかと思います。

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・車に乗らない、またはスタッドレスタイヤ買う

雪道や凍結路の運転に慣れていないなら、運転しないのが一番です。

あの感覚は練習しないと分かりません。

下手に事故したり立ち往生したりしてトラックやバスの邪魔になってはいけないと思います。

車に頻繁に乗る人、あるいは「乗らなくてもいいや」ができない場合は、スタッドレスタイヤを買いましょう。

もちろん無茶はできませんが、凍結路での走りがまるで違います。

チェーンも携帯しておいた方がいいかもしれません。

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・雪に強い靴を買う

年1の装備ですが、足元の安全は重要です。

命に関わります。

滑りにくく暖かい靴というだけで、ずいぶん歩きやすくなりますよ。

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・心構え

雪で都民があたふたしているのを「これだから東京は(笑)」とするのを雪国マウントと言うようですね。

正直、言われてムッとします。

生まれ育った場所を悪く言われたら、誰だっていやな気持ちになると思います。

だけど、雪国マウントについてはムキになって否定するほどでもありません。

だって事実だもん。

 

だから私は、雪国マウントは言わせておいていいんじゃないかと思います。

 

うたこのコメント:私の夫は出身である東京が大好きなんですね。