かつてネット上に多数存在した「掲示板」のことを覚えていますか。
新しい投稿がないかついついリロードを繰り返したり、返信がつくと嬉しいけれど、内容を見るのが怖かったり、あの頃は今よりもかなり、ネットで発信することが怖かった。
それは、自分の考えをしっかり表現していたからかもしれません。
思いを表現する場所はすごく増えたけれど、考えを表現する場所、がネットから減ってる? そんな気がしたので、いろんなことが書かれていた掲示板について思い起こしてみることにしました。
掲示板全盛期
私が初めて「掲示板」的なものに触れたのは中学生の頃、今から15年前くらいですかね。大昔の話です。
「きれいカフェ」という可愛くいるための方法をみんなで情報交換するサイトでした。中学2年生といえば「見た目絶対主義」の時代で、顔が可愛い人が強い権力を持つ時代でした。
私はごくごく一般的な薄い顔をしているためカースト制度で言う所の中の下、もしくは下の上くらいの感じだったので、学校は非常に過ごしにくい場所でした。そもそも、天然パーマが及ぼす悪影響が半端なかった……。
「きれいカフェ」にあった天然パーマを直す方法、色々やりました。今考えるとアホかよってものばかりです。
「ビニール袋を開いて内側に日焼け止めを塗って髪にかぶせ、上からドライヤーで温める。」っていうの、試したことがあります。当然ながら効果はなかったです。
意味の分からないものもたくさんありましたが、それでも「個人の思い」よりは「方法」「思考法」についての投稿がなされていたと思います。
おそらく中高生が中心だった「きれいカフェ」にはそれなりに有名な「荒らし」の人もいて(懐かしいなぁ、「荒らし」って。今やネット上は「荒らし」まみれと言っても過言ではないですね。)それなりにバトルも繰り広げた記憶があります。
それからmixiに移行して黒歴史日記を書き記し、TwitterやFacebook、Instagramが中心の時代へと変化していきました。
掲示板が理論的に構成されていたころ、ネットは理系っぽいイメージを抱いていましたが、今や完全に文系の世界になっているような気がします。感覚的で、思いにあふれています。
140文字での表現、日常の報告、写真だけの表現が中心となり、文の構成や論理性を考えてドキドキしながら投稿ボタンを押すことなんてなくなったなぁと思います。
「掲示板」では下手なことを言うと一斉に叩き潰しに来られるし、編集も削除も簡単にはできないので文章の精査がかなり必要でした。この文章だとなにを思われるかと言うことをよく考えていたような気がします。
前置きが長くなりましたが、あの時代のような「掲示板」ってまだどこかで息してるの?! と思い、探してみたところ「議論サイト」なるものがあることを知りました。
今でも活発に使われているか? と言うと、ちょっと違うかもしれません。ですが、「いろんな角度から価値観をみてほしい」「いろんな考え方を受け入れ合える世界になってほしい」など、議論の目指すべきところがしっかりしていて、こういうサイトがもっと使われればいいのにな……と思いました。
せっかくなのでご紹介します。
議論サイト
シンクロン *2017年3月31日閉鎖、12月31日完全削除
議論ではなく、価値観を対話させる場として2013年11月から2017年3月まで開設されていたサイトです。
議論は主に3つの視点から行われるとして、それぞれの主張の立場を明確にすることで共感ポイントを見つけられるように工夫してあります。
こんな感じで、意見が3つに大分類されています。
相手の主張を理解することでより良い議論ができ、より良い社会になるとしています。
私も、その通りだと思います。
提示されているルールも素敵なものでした。
ガチ議論
一時は休止していたようですか、再開することになったガチ議論というサイトです。
ガチ、というだけあってテーマも重く、文章量も多いのが特徴です。
もちろん、議論内容もかなり文章が長いです。
最近は長文を読むことがなく、中々取っ付きにくさを感じます。内容は濃いんでしょうが…。
BLOGOS
こちらも、人ほどの意見を集めて戦わせ、より良い社会を、日本を変えよう! 的なコンセプトで運営されています。
こちらはガチ議論に比べるとまだ書き込みやすそうです。テーマは最近ニュースになっているものが多く、ちょっと思うところがあるという人も多いのではないでしょうか。
iRONNA
オンライン、オフラインを問わず世界の様々な意見、解説をまとめている総合オピニオンサイトです。
1つのテーマに対して何人かの記事がまとめて読めます。確実に多面的な視点になるとは限りませんが、1つのテーマをいろんな人の意見で読むことは理解を深めるための一助になると思います。
ただ、言葉がちょっと乱暴な気がします。「バカ」とか「愚か」とか、煽りともとれるような表現が多いのが気になります。
注目を集めるためにキャッチーな言葉を使うのは重要なことかもしれませんが、人の感情に火を付けるだけでは建設的な議論はなされないのではないかなと。
こちらのサイトでは一般の人がコメントする場所を見つけられませんでした。
まとめ
楽しかった掲示板の話から、よりよい社会にするための議論を繰り広げられるサイト、となるとちょっと話は飛んでしまった気もしますが、4つの議論サイトをご紹介しました。
シンクロンは議論サイトとして一番いいサイトなのではと思ったのですが、残念ながらもう削除されることが決まっています。
議論の難しさって、相手の立場も考えつつどういう方向に決着をつけるかなんですよね。難しいですけど、それを考えることで視野も広がるし解決策を考える方法が自分の中に増えてくるし、全体について考えることで優しくなれると思うんですよね。
中には「議論=喧嘩」として身構える人もいますが、そうではありません。議論はむしろ、優しさと楽しい未来のためのものだと思います。
Twitterはもう、感情論の大爆発と、140字の制限で相手を鑑みる文章まで入れていられないことで燃え上がりまくってますが、世の中のいろんな課題に対してみんなで建設的な議論ができるようになれば、庶民ももっと強くなれるはず。
そういうことを楽しくできるような掲示板、作りたいな。