こんにちは。うたこの夫です。
世界遺産、ゼメリング鉄道。よかったよ。
ウィーン4日目の様子を紹介します。
この日の8割は私の仕切り。だから鉄分が相当多めです。
ウィーン4にちめ
今日は朝から駅に行きます。
待ちに待った、世界遺産のゼメリング鉄道に行くんだ!
ガイドブックではめちゃくちゃめんどくさい行き方が書いてあったけど、自分流に簡単に楽しんじゃうんだ!
興奮のあまり、列車の出発2時間前に駅についちゃいました。
とりあえず時間調整。
これは、ÖBBラウンジです。ÖBBの列車の1等車に乗る人が利用できるラウンジです。
私たちはユーレイルパスの1等車用をもっていて、1等車が連結されている列車は全て1等車利用という暴挙に出ているので、こちらのラウンジを使う権利はあります。
だけど、私は鉄道のラウンジを使うのが初めて。カウンターのお姉ちゃんに恐る恐る
「May I use this lounge by this railpass......?」(ドイツ語わからない)
と質問する始末。
カウンターのお姉ちゃんははじける笑顔で
「Ofcourse!! Please enjoy.」
って答えてくれました。よく見たらおばちゃんでした。
ラウンジはそこまで広くはない印象です。列車の本数を考えれば、そんなもんか。
家具類はすべて腰以下の高さに揃えてあるので、視界が広くて落ち着く環境です。
客層は、年齢が高く、ほとんど誰もしゃべっていません。静かで穏やかな雰囲気。
飲み物や軽食もフリーです。左側の大きなガラスには、駅のコンコースが見えます。
高いところにある快適な環境から雑踏を眺めるの、私とっても大好きです。
今日は列車に乗ってウィーンから日帰り旅行をします。
時間になったのでホームに上ります。
おなじみ、ÖBB railjetが停まっていました。妻もなんか撮影してます。
はまったのかな?(すっとぼけ)
しかし、今回はこれには乗りません。乗るのはこちら……
青いrailjet。その名も ČD railjet。
チェコ鉄道が運用するrailjetです。
オーストリア鉄道が製造キャンセルした分をチェコ鉄道が購入したものです。
České dráhy チェコ鉄道!
ČD railjet の制御客車の形式は Afmpz 8090.0 だから、ÖBB railjetとほぼ同じ。
(ÖBB railjet の場合、Afmpz 8090.7 です)
青色になっていますが、塗分けはÖBB railjetに準じています。
赤いと重厚な印象のrailjetも、青くなるとさわやかな印象ですね。
ちなみにチェコ鉄道は、railjetの客車は持っていても、機関車を持っていません。オーストリア鉄道からRh1216型機関車を借りています。しかも、ただ借りるのではなく、Rh1216をČD railjetに合わせた青色に塗り替えてもらっています。
どれ、後ろに回って青い機関車を見てみよう……
……
……
(26.5m級が7輌。結構長いな。)
……
まさかの ÖBB Rh1216 通常塗装。
まあそんなもんだよね。
ČD railjet 塗装のRh1216だって、所詮オーストリア鉄道の持ち物。都合がつかなければ他のRh1216を持ってくるよね。
ちょっと残念だったけど、機関車の融通が利くからいろんな組み合わせを楽しめるのも、railjetの醍醐味と言えます。だからこれはこれでおもしろい。
向こうのホームには、ICE-Tが入線していました。ドイツに向かうのでしょうか。
あちらは電車形式の高速列車(と言ってもそんなに速くない)。
こちらは客車形式の高速列車(と言ってもそんなに速くない)。
どっちも好きだけど、やっぱり私はこっちのほうが好きかな。
Rh1216の側面にでかでかと描かれた
part of the best
言いたいことが分かるような気がするけど、やっぱり分かりかねる、的な。
最高の部分?
自分の語学力のなさに涙を流しつつ、車内に移動します。
こちらはČD railjetの2等席。
シートが青いのが特徴です。
こちらはレストラン。メニューはいろんな国の言葉で書いてありました。
ちなみにČD railjetのレストランでは、ユーロ、スイス・フランだけでなくチェコ・コルナも使えます。
カウンターは開いていません。そりゃそうか。
朝一だし、そもそもこいつはウィーン発グラーツ行き。
つまり、チェコ鉄道の車輛なのにチェコに行かない運用だからな。
我々の席、1等車に移動します。
ほとんどÖBB railjetと同じ。枕カバーの刺繍が違うだけでした。
あ、あと。
インフォメーションディスプレイが旧デザインでした。
参考までに、新デザインになったÖBB railjetのインフォメーションディスプレイはこちら。
ちょっと遠いけど。ドイツ語ベースで、時々英語。
ČD railjetは、チェコ語ベース、時々ドイツ語。チェコ語パートは解読不能。
列車は出発すると、南に南に進んでいきます。
最初は広々としていた車窓。
列車が進むにつれ、だんだん山が迫ってきます。
途中のグロッグニッツ駅を過ぎると、完全に登山列車モードです。
そう、ここから世界遺産のゼメリング鉄道が始まります。
(ゼメリング「鉄道」っていうけど、私鉄じゃないのよ)
右に左に急カーブ。無数にかかる石橋。迫るトンネル。
眼下には、通ってきた線路が見えます。
これほんとに幹線か!?
さすがのrailjetもこの劣悪な路線には自慢の俊足も発揮できない様子。
車内のインフォメーションディスプレイには60km/hと表示されていました。
(でも、これだけの山の中を60km/hって、結構速いんじゃないか……?)
途中、ゼメリング駅に停車しました。ここが峠です。
山の中の信号場にホームを付けた感じの山の中。この列車の乗降者数、およそ10。
私たちの乗る車両には乗り降りが無かったらしく、ドアは開きもしなかった。
(オーストリアに限らず、あちらの列車は半自動ドアが多かった)
そうこうしているうちに、ゼメリング鉄道も終わり。
今回の目的地、ミュルツツーシュラーク駅に到着しました。
ここはウィーンっ子の軽井沢と呼ばれる街で、過去の偉人・有名人も避暑に訪れていたとか。ブラームスなんかは、町を挙げて売り出しに使っています。
乗ってきた列車を見送るためにホームで待っていたのですが、なかなか出発しない。
出発予定時刻から30分経っても出発しない。
Rh1216の「みゅいーーッ」が聞きたかったのにな。
待っている間、反対側からいろいろやってきた。
上:ÖBB railjet 第51編成 "Ski Austria"
上:夜行列車用のカラーリングの客車で表れた昼行列車。適当オブザオーストリア。
上:貨物列車。これから山登りだってのに、単機で牽きすぎじゃないですかねええ!?
駅にはプレートが貼ってありました。
世界遺産だよって。
発車を待つのも飽きたので、駅に隣接している鉄道博物館に行きました。
SÜDBAHN museum(南鉄道博物館)というところです。
Home, Südbahnmuseum Mürzzuschlag
建物に入ると、ちっちゃな受付と、昔の食堂車を使ったカフェが見えました。奥に入ると、工事の様子や昔の機関車などが展示されていました。
ドイツ語での展示なので、私にはほとんどわかりませんでした。
キーカードをもらい、別館に行きます。別館といってもその実は扇形機関庫です。
先ほどの建物から出て扇形機関庫に向かう間にあったのは
大きなトラバーサー。今となってはすっかし草生して、さび付いています。
昔はたくさんの機関車をさばき、運用してきた一大機関区だったのでしょう。かつての山北機関区のように。
だいぶ長いこと動いていないだろう転車台。ミュルツツーシュラーク駅で現用の側線の数々。伸びていただろう線路の数を見るに、かつては、たくさんの山男(山越え用の機関車をあえてこう呼びたい)たちの寝床だったのでしょう。
キーカードを使い、扇形機関庫の中に入ります。
かつてここで活躍していただろう機関車がたくさん展示されています。
Rh1042型電気機関車。お目目がくりくり。意外と細身。
なんか明らかに古い蒸気機関車。本線用じゃなさそうだけど、なんだこいつ?
後のも相当に古そう。日本では自力で機関車を作れなかった時代あたりのデザイン。
でた! クロコダイル! 無骨オブ無骨!
まさか見ることができるとは思わず、大興奮。
比較的新しそうに見えたけど、これもオーストリア・ハンガリー帝国時代の超古いやつ。
日本の博物館以上に古い機関車の収蔵に熱心だな、と思いました。
また、機関庫の端っこのほうではありましたが、日本では見慣れない展示が……
保線車両です。数多くありました。モーターカーだけではなくて、トロッコもありました。こう言っては失礼ですが、「裏方の車両」にも光を当てた、すばらしい博物館だと思いました。
(英語の解説が欲しい。)
次は妻のターンです。
駅の反対側に出て、街中を抜けて歩くこと10分。
黄色いペンション風の建物はレストランです。
ピッツァのお店でした。食事の詳細は妻の記事で。
ブラームスの小径を少しだけ歩いて、また駅に戻ります。
ゼメリング鉄道100周年の石碑。もう60年前じゃねーか。
駅に戻りました。
近郊列車が停まっています。Rh4024でしょうか。
さっきのSŪDBAHN museumを眺めます。やはり相当広い機関区であったことがわかります。
また貨物列車が来ました。
また貨物列車が来ました。
側線に入っていきました。
材木を積んだ貨物列車も来ました。季節柄でしょうか、この旅行で材木を積んだ貨物列車を何本も見ました。
ゼメリング方面の側線には列車が大集合。
この機関車たちは元気かな?
帰りのrailjetが来た……
かと思ったら、railjet牽引機が牽くICでした。紛らわしい。
っていうか通過していきやがった。
反対側には例のアレが来ました。
ČD railjet!!
今度は機関車もČD railjet塗装で、しかも正しい向き。
これがまさしく編成美!
無粋な貨物列車がかぶるところまでお約束。
帰りの列車は、すっかり疲れて熟睡モード。
ウィーンに帰ってきました。
Sバーンに乗って、ウィーン・ミッテ駅に向かいます。
2階建て低床車。
ホームとの段差、ゼロ!
これがうすらデカいオーストリアのSバーン車両!
愛称は「WIESEL」。全くイタチには見えないんだけど。
とりあえず、ウィーン・ミッテ駅から散歩。
シューベルト。
この双頭の鷲は……
ホーフブルグ宮殿の近く……だと思うんだけど、ここどこだっけ。
ラテン語なんてわかる気がしねえ!
またSバーンでウィーン中央駅に戻りました。
昨日の釣り掛け電車、Rh4020とWIESELと。四角い顔のSバーンたち。
地上ホームに戻ると、やっぱりrailjetやICE-Tが停まっています。
ところで、ウィーン中央駅に戻ってきたのはホテルに帰るからではありません。
今晩の寝床を待つためです。
それは……
夜行列車です!
EN40466 nightjet "Wiener Walzer"
到着予定時刻から遅れること数分。目的の列車が近づいてきました。
2階建てを先頭にした推進回送。ダイナミックですねー。
細かい説明はこちらの記事(私)とかこちらの記事(妻)に投げます。
という具合で、夜行列車を思う存分楽しんで、眠りについたのでした。
思ったこと
旅行ガイドブックを見ると、「ゼメリング鉄道への行き方は、特急列車に乗ってうんたらかんたら、普通列車でどうのこうの」とか書いてありますけど、そんなのめんどくさいだけ!
ウィーンから!
グラーツ行きの!
railjetに乗る!
それだけ!
たぶん、ゼメリング鉄道は今後すたれていきます。いま、ゼメリング峠をトンネルでスルーする高速新線の建設が真っ盛りです。新線の開通によって、ゼメリング鉄道を特急が通らなくなるかもしれません。「日常的に世界遺産を走る高速列車」を味わうなら、今しかありません。気になる方は、お早目の行動をおすすめいたします。
(ただ、観光客用列車をあえて通すこともあるかもしれませんね。そうなったらスイスからSBBパノラマ客車を導入してほしいなあ!)