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【LokSound】ジャンクで入手したNゲージをDCCサウンド化した話【KATO 489系】

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こんにちは。

先日、めっちゃ久しぶりにポポンデッタに行きました。今回は、そこでジャンクで購入した489系がDCCサウンド車になったというシンデレラストーリーです。

 

夏のある日

旅行も不要な外出もせずに過ごしていましたが、8月のある日、どうしてもの用事があって外出している妻と子供をお迎えするために、車で合流地点へ向かいました。公共交通機関はできるだけ避けたいですからね。
渋滞があるものと想定し、ちょっと早めに出たつもりだったのですが、意外にも道はガラガラで、あっという間に到着してしまいました。
どこかで暇つぶしができないかと探すと、近くのショッピングモールにポポンデッタがあることが分かりました。

外出自粛でショッピングモールはどうかと思いましたが、平日の午後3時にショッピングモールなんか誰もいないでしょう。
駐車場も無料だし、とりあえずそこに行くことにしました。


ポポンデッタにて

いや~平日っていいなあ。
店員さんと私しかいないんですもの。
若干の気まずさを感じながら、中古車両を物色します。

見つけたよ、489系

KATO 489系急行「能登」セットのバラシがジャンク品で出ておりました。
クハ489-501(先頭車①)以外はすべて残っていて、クハ489-1(先頭車②)とモハ488-204(動力車)は1210円、それ以外の中間車はすべて990円というお値段でした。
う~ん、安い。

 

さすがにそれぞれ不調を抱えているらしいですが、それでも安すぎる。

だって私にとって「動作不調」なんか「直せば動く」と同義だもの。
うちには国鉄色485系の余剰車があります。
昔に新品購入したクハ481-26(鉄道博物館所蔵車)と、ジャンクの詰め合わせに入っていたモハ485(多分「雷鳥」セットのうちの一両)です。
これらの余剰車と組み合わせれば、さらに1編成錬成できるのではないか……!?
製造時期も似たようなものだから構造も同じ!


編成を考える

ジャンク品の買い物で一番楽しい瞬間です。
今、自宅にあるのが「クハ481」と「モハ485」です。
「モハ485」は、パンタグラフを持つ「モハ484」とユニットを組むことになっています。模型でも、動力車がないので動きません。
また、先頭車も1両しかありません。
だから、今のままでは何の役にも立たないので、余剰車となっているのです。

ここに、今お店に並んでいる「モハ488(動力車)」と「クハ489(先頭車)」を加えると、
<クハ+モハ+モハ+クハ>
の4連を組むことができます。
本当は「モハ485」の相方は「モハ484」がいいのですが、お店にはありません。「モハ488」は「モハ484」と酷似しているというかほぼ同等の車両なので、この際一緒に組んでもらいましょう。
どうせ走ってたら見えないし。

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そんで、購入しました。

 


観察と整備

では模型を見てみましょう。

観察

共通

金沢総合車両所所属のH01編成、2000年代以降の姿がモデルになっているようです。
実車同様のグレー屋根と雨どい塗装の省略が特徴です。
この模型は、急行「能登」のセットだからか、サボ受けには「急行」の印刷が入っています。
連結器はボディマウントカプラー。黒染車輪です。

 

クハ489-1

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号車番号は「9」
横軽では峠の上側なので、先頭の連結器がカバーされています。
1971年製造車らしく、タイフォンはスカートにあります。
JNRマークはなく、白のJRマークが入ります。
DCCフレンドリーです。FL12デコーダーが無加工で入ります。
この模型では、前オーナーの好みか、「はくたか(JR)」のヘッドマークがついていました。かっこいい!
実車は京都鉄道博物館で保存されています。

 

モハ488ー204

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号車番号は「5」
DCCフレンドリーです。EM13デコーダーが無加工で入ります。
この模型では、前オーナーが碍子を白く塗装しています。いいじゃない!
実車は2012年に廃車になっています。

 

分解整備

「動作ぎこちない」「ライトちらつき」とのことですから、集電機構のどこかが汚れて接触不良を起こしているものと想像できます。

一度分解して、各部を清掃しましょう。

 

車輪は……

踏面の黒い模様は黒染車輪のメッキ剥がれなのか、汚れなのか、いまいちよくわかりませんね。

あとホコリをとりたい。

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動力車

とりあえず動力車はボディを外します。

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次に動力台車を外します。

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床下側の集電板が少し汚れていたので、クリーナーと綿棒できれいにします。

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動力台車を分解します。
全てハメコミなので、やさしくツメを押してあげれば分解できます。

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車輪と、銅色の集電パーツはクリーナーできれいにします。
特に軸受けの部分は黒くなっているので、つまようじや綿棒など、先のとがったもので汚れを拭いてあげましょう。
車輪の踏面以外の電気の接点になるところはタミヤの「接点グリス」を塗って、スパークで汚れにくくします。
※車輪の踏面には塗らないように!
最近は自動車のATFを使う方も多いようですね。
ギア部はグリスアップして、組み立てます。
分解と逆手順ですが、車輪のハメコミには少々力が必要です。

先頭車

先頭車など、動力車ではない台車についても、同じように清掃します。

ギア部分などが無いだけ、分解は簡単です。


編成を見てみよう

モデルにした時期や編成が全く違うので、屋根の色が全然違うのと、思ったより雨どいの塗装省略が目立ちます。

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左2両が今回購入したもの。ヘッドマークは「はくたか(JR)」でサボ受けは「急行」
右2両が以前からあった余剰車。ヘッドマークは「ひばり(文字)」でサボ受けは「特急」

 


ぐちゃぐちゃだね。

 

 

 

でもまあいいや。

 


余剰車とジャンクで組んだ「おもちゃ感」がまたいいじゃないの。
走らせてみると、十分満足いく状態になりました。

すばらしい。

 

さて、お次はDCC化です。


DCCって……

Digital Command Controlの略です。

www.katomodels.com


線路にデジタル信号を流し、複数の列車が同一線路上で個別操作できるようにしたものです。
デジタル信号を読み取る装置(=デコーダー)を搭載した車両やポイントに指示を送ると、その車両やポイントだけが指示されたように動きます。
線路に流れている電圧が常に一定なので、ヘッドライトや室内灯をスピードに関係なく点灯/消灯させることができます。
DCCは基本的には世界標準規格で設計されているので、メーカーをそろえたり、互換性の心配はあまりありません。
※実際には、相性の問題が多少あります……。

 

簡単になったよ

以前はハンダゴテ片手に小難しい電子工作がイメージとしてついて回っていましたが、近頃は誰でも手軽に楽しめるように、さまざまな製品が販売されていたり、有志の方々によって部品の頒布がされています。
国内Nゲージメーカーでは、KATOがDCCの導入に積極的です。
10年ほど前から、Nゲージ新製品の多くは「DCCフレンドリー」といって、専用のデコーダーを差し込むだけで簡単にDCC化できるようになっています。

www.katomodels.com


今やこれらの中古車両も多く出回っていますので、DCCの敷居はさらに低くなっていると考えます。(今回の489系もまさにソレ)

さらにさらに!

さらに追い風となる環境として、DCCサウンドの敷居も低くなりました。
オープンサウンドデータといって、有志の方々が作成したサウンドデータ(デコーダー設定も含む)も、デスクトップステーション株式会社がスポンサーとなって無償公開されています。毎週のように新しいデータが公開されています。お好みの車両のサウンドデータもあるかもしれませんね!

↓ デスクトップステーション様のページ

desktopstation.net

desktopstation.net


そしてこれらのサウンドデータを書き込んでKATOの車両に無改造で組み込めるデコーダーがESU社から発売されました。
DCCフレンドリー以外の車両でも、できるだけ組み込みしやすいように有志の皆様が部品を設計・製造・頒布してくださっています。こちらもハンダゴテがあれば簡単に組み立てることができます!

↓ DCC組み込むときに便利なExp-Boardの一つ、「EC-Slim」を手掛ける、TRAINO様のブログ

traino-info.blogspot.com

 

 

DCCフレンドリーだけど、試しにあえてDCCフレンドリーではない方法でDCCサウンド化したE127系100番台

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この後、車両間引き通しLED室内灯の実験台にもなり、現在も活躍中。

つまり、我が家のかわいいモルモット君

 

DCC化の手順(KATO DCCフレンドリーの場合)

DCC化のために準備するもの

今回は、余剰車とジャンク品で組んだ485系・489系4連をDCCサウンド化します。サウンド化しない場合の方法についても紹介します。
KATOの「DCCフレンドリー」車両ですので、ハンダゴテは不要です。
準備するものは

  1. DCC化する車両(今回は先頭車2両と動力車)
  2. KATO FL12デコーダー …… 2こ(先頭車用)
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  3. ESU LokSound 5 DCC micro direct kato japan ……1こ(動力車用)
     ⇒サウンド化しない場合は、 KATO EM13デコーダーを使用
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  4. カプトンテープ(絶縁用) …… 少々
     ⇒なければ、セロハンテープやマスキングテープでも代用できます
  5. DCCコマンドステーション …… 1こ
     ⇒コマンドステーションはどれでもよいと思います。
  6. フィーダー付き線路 …… 適当な長さ1本、プログラム線路用
     ⇒デコーダーを載せた車両が全部乗る長さ
  7. ESU LokProgrammerとパソコン …… 1こ(サウンドデータ書き込み用)
     ⇒サウンド化しない場合は不要
  8. 入れたいサウンドデータ …… (今回は「MT54 国鉄急行・特急型」)
     ⇒サウンド化しない場合は不要


先頭車へのデコーダー組み込み(共通)

床下を見ると、取り外せそうなフタがあります。

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開けたところにFL12を差し込みます。

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デコーダーには表裏があります。
下から見たときに、接点が途切れている方が見えていればOKです。
このまま、先頭部に向かってグッと押し込みます。
もう一両には、表裏はそのまま、前後を入れ替えて差し込みます。

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上の車両と下の車両とで、デコーダーの向きが違うのがわかりますでしょうか。
一番後ろ寄りの出っ張りにある金色の端子部分が、上の車両は左寄り、下の車両は中央寄りになっています!
※ただし、この上の車両は通電用の金属板がズレてしまっているので取付失敗です。やりなおし。この構造の都合、FL12は接触不良がそれなりに多いようです。うまくいかない場合は、端子を洗浄したり分解して組み込んだりしてみてください。
これで先頭車の組み込みは完了!


動力車へのデコーダー組み込み(共通)

モーターカバーを矢印のほうにずらすと、パカリと開きます。

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ダイキャストが一段くぼんでいるところにデコーダーを組み込むのです。
ドライブシャフトと台車が邪魔になるので外しましょう。
ダイキャストとデコーダーが接触するとショートしてしまいますので、絶縁します。
カプトンテープでダイキャストとデコーダーの接触してほしくない部分を隠しましょう。

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やりすぎるとデコーダーに電気が通らなくなるので、接続用の端子が露出するように気を付けてください。
こちらのデコーダーにも表裏があります。左右の端子の金色の部分が長~い方が車体の集電板にあたるように差し込みます。短い方は、モーターの接点に当たります。
このようになります。向きはEM13でも同様です。
※サウンド化しない場合はここで組み込み完了です。


スピーカー配線を側面のくぼみに沿わせ、スピーカーを車端部のあたりに乗せます。

ついでに、エンクロージャーもゴム系接着剤でぴっちり固定します。

車体と組み合わせてみて、接触しているところがないか確認し、必要に応じて削るなり切り取るなりしましょう。
今回は、室内灯の支持具が干渉したのでバッサリ切り捨てました。
どうせテープLEDで照明を作るので、この柱は不要です。


デコーダーへの書き込み(共通)

デコーダーを入れた車両をプログラム線路に載せ、アドレスや進行方向を指定します。

ここの操作は、お持ちのコマンドステーションによって違いますので、ご確認ください。

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一番手前がプログラム線路です。

今回はショートアドレス「48」に設定しました。
進行方向は偶然そろっていたので、変更はしませんでした。
EM13を使用する場合は、これで基本の設定は完了です!


サウンドデコーダーへの書き込み(サウンド化する場合のみ)

プログラム線路とLokProgrammerに繋ぎ、パソコン上でもLokProgrammerを起動します。
LokProgrammerのインストール、初期設定はこちらが詳しくてわかりやすいです!

powerele.sblo.jp


LokProgrammerで車両に入れたいサウンドデータを開きます。

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デコーダーのデータをよく確認しましょう。今回の場合、アドレスを「48」に変更です。
LokSoundを組み込んだ車両をプログラム線路に載せ、左上の書き込みボタンを押します。
書き込みを待ちます……(オープンサウンドデータ「MT54 国鉄急行・特急型」の場合、およそ30分)
エラーなく完了できたら、これでおしまいです。

 

できました!

これでDCC化(またはDCCサウンド化)は完了です。


DCC普及のためにご尽力された先人の皆様と各メーカー様のおかげで、DCC化はぐんと簡単になりました。
さらにこの記事のように、DCCフレンドリーの車両の場合はもっと簡単にDCC化できます。
また、サウンド化も難しくはないことがおわかりりいただけましたでしょうか。

これで、併結とか重連とか、いろいろ楽しみやすくなりますよ!

 

(追記)気になりますよね

気になりますよね。お値段。

今回ご紹介したことを全く新規に始めると、かかる費用は次の通り。
・車両……約15,000円(DCCフレンドリの車両セットを新品購入する場合)
・FL12……3,300円(2つ 定価)
・EM13……2,200円(1つ 定価) ※サウンド化しない場合に必要
・LokSound……約14,000円(1つ 輸入) ※サウンド化しない場合不要
・LokProgrammer……約20,000円(1つ 輸入) ※サウンド化しない場合不要
・コマンドステーション……29,800円(DSair2完成品)

というように、並べてみるととんでもないお金がかかっているように見えます。
しかし、これらの多くは中古で入手出来たり、割引の大きいお店で購入できるものもあります。実際にかかるお金はもう少し安くなるはずです。
また、これらは一気にそろえるモノではないと思います。

まずは、模型店などでDCC運転を体験してみたり、コマンドステーションとデコーダだけ買ってみて、DCCとはどんなものをかを試してみるのがよいかと思います。
それで「なるほど」と思うことがあれば、そこから集めていくとよいでしょう。